ユーラシア大陸自転車横断 あとがき
日本に帰ってきてから1ヶ月ちょいが経ちました。
「帰国した後もチャリで戻ってきたの?」
って会う人会う人に聞かれるんですけど、実際は普通に新幹線で輪行しました。
皆の"当然チャリで戻ってきたよね"っていう期待の目がすごく痛いです、
答えた後の裏切ってしまった感が半端じゃないのでそこについては聞かないでください。
雪国育ちの冬生まれだけど、このクソ寒い雪の中自転車こぐのはさすがにクレイジーすぎると思います。
でも装備とかバッチリ決め込んでる状態だったら極寒のアラスカとかも漕いでみたいです。
日本に帰ってきてまずやろうと決めていたのが、自転車や寝袋などをまるまる掃除すること。
自転車に関しては泥まみれってのもあるし、最終的な状態としては、
ハンドルは若干ゆがんでるしキャリアのダボ穴はガッバガバだし、もはやギアチェンジはフロントもリアもうまく決まらなくて、なんなら漕いでるときは大体どっかから異音が聞こえる
っていう状態でした。
とりあえず感謝を込めてピッカピカに洗車してあげました。
修理・メンテナンスはまだきちんとは出来ていないけど、少しずつ調整していきながら、これからの生涯も共に過ごしていくつもりでいます。
寝袋・マット・テント・ウェアに関しても汚れがひどかったっていうのと、
帰国してから気づいたんですけど、それぞれがサッカー部の部室みたいなニオイを放っていました。
全部きっちり洗って乾かしたあとにファブリーズをかけまくって、新品同様とはいかないまでも、バッチリ綺麗になってます。
思い出がいっぱい詰まった宝物なので、大事に保管しておいて今後も機会があれば使っていきたいと思います。
それからはちょびっとだけ大学に復帰。
今年度卒業するゼミ生の卒論発表があったんですけど、先生の粋なはからいで、なぜか自分も発表することに。
発表の数日前に送られてきたプログラムの最後に、みんなのまじめなテーマの中に1つだけポツンと 『チャリで世界を攻めた男』 という題目が。
せっかくいただいた機会だったので、写真をメインに紹介して、いっちょまえに自転車旅の魅力についてなんかも熱弁させていただきました。
ウケは上々だった気がするのでめでたしめでたしです。
それ以外では久々の友達といっぱい遊んでお酒飲んで、
暇な時には旅をしみじみ振り返ったり、
今後の進路だの来年度の卒論だのでウダウダ悩むっていう日々を過ごしていました。
免許の更新も無事に済んでバイトにも復帰して、日本は日本で充実した日々を送れています。
「千里の道も一歩から」
とはよく言うけども、フランスのパリを出た時は、まさか中国にたどり着いている自分の姿は想像も出来ませんでした。
スタート直後からもう毎日が刺激とワクワクとアクシデントで溢れていて、
その日その日を楽しみながら無事に生き延びることで精いっぱいだったので。
今考えると、本当に夢のような179日間でした。
たくさんの絶景や遺産を自分の五感で感じることが出来て、
一方でその倍はしんどくて辛い思いを味わいました。
スタートして2日でバッグを破壊し、キャリアは壊れ、ウクレレをはじめとして数々の物を失った他、盗難や詐欺未遂、襲いかかる虫や野犬の脅威など。
「夢のような」とは言ったものの、これはもはや悪夢です。
そんな思いを味わった今でこそ確信していることがあります。
数ある旅のスタイルの中で、
自転車旅こそが最高のスタイルである
ということです。
絶妙なスピード感での移動によって、観光地やリゾートでは味わうことのできない“その国・地域の本質”が見られるからです。
ガイドブックには載っていないような、自分だけの景色を独り占めできるからです。
そして何より、移動中にこそ素晴らしい出会いの種が散らばっているからです。
数々の辛い思いを乗り越えることができたのは、この出会いのおかげっていうのが1つです。
本当に色々な人のお世話になりました。
おかげで形式上では「一人旅」だったかもしれないけど、道中ずっと、おれは決して一人なんかじゃありませんでした。
自分でもすごく綺麗事に聞こえるんだけど、本当にこれに尽きます。
お世話になった人の顔と名前は今でも鮮明に覚えているし、今後忘れることも絶対にないと思います。
感謝してもしきれません。
そして日本で応援してくれていた人の存在がとても大きかったです。
お守りアイテムを持たせてくれた友達や、ちょくちょく心配のメッセージをくれた皆、本当にどうもありがとう。
直接は恥ずかしくて言えないので、この場をお借りして感謝の言葉とさせてもらいます。
このブログに関しては、意外と反響が大きかったみたいでびっくりしてます。
「ブログ楽しみにしてんだから早く更新しろや」っていう言葉を貰ったり、久々に学校に行ってみたら 知らない人から「ブログ見てたよー」って声をかけてもらったり。
実際、ブログを始めた頃に比べるとアクセス数がとんでもないことになっています。
旅を続けながらブログを書くのは正直ものすごくめんどくさかったけど、見てくださる方々やスター、コメントをくださる方々の存在はとてもありがたかったし、なにより励みになっていました。
ここまでお付き合いいただいて、本当にありがとうございました。
これからはというものの、この先進路は自分でもどうなるかはまだわからないけれど、一応漠然とした将来の夢のイメージは出来上がったし、自転車旅に関しては生涯を通して続けていきたいなと思っております。
というか、こんなに最高の体験をしてしまったが故に、「ここで終わり」と区切りをつけられそうもないです。笑
つきましては、また不定期とはなってしまいますが、今後もこのブログはちょくちょく更新していきたいと思います。
この旅のまとめもそのうちしなきゃだし。
最後にはなりますが、この旅を通して関わっていただいた全ての皆様に心から感謝を申し上げます。
これからも自分なりのペースでチャリで攻めていきますので、何卒よろしくお願いします。
つづく