179日目 中国:上饶 → 上海
上饶市出発。
中国の地名はやっぱり読み方がわからないのがほとんどなので、手書き入力にお世話になりまくりです。
この日は洗濯物がことごとく乾いてくれなかったので、自転車の荷台はご覧の有様です。
香港スタートからぶっ通しで9日目。
宿に泊まったとは言ってもほとんど疲労は取れず、脚もパンパンだしケツはズキズキするし、ここらへんから大分しんどくなってきました。
いつも平坦な道で使ってるギアでも、「マジで?」ってくらい重く感じる。
中国のワンコちゃんは、脚が短くてポテポテしてる子達が多いのですごく和みます。
1つひとつのアクションから伝わってくる、「精いっぱい生きている感」がたまらなく好き。
漕いでる時もたまに吠えながら追いかけてくるけど、殺意が感じられないので全く怖くないし、むしろそのままずっと付いてきてほしい。
野宿して玉山县に突入。
雨ってのもあって流石に寒すぎたので、ずっと必要性を感じていた手袋をここにきてようやく真剣に探しはじめました。
『ポーズを取ってカメラ目線をする余裕も無いほどの疲弊を見せるおれ』
手袋と耳あてとマスクを購入。
店のおばちゃんにはサンダル姿をツッコまれまくって靴の購入を猛プッシュされたけど、ここまできて靴買うのはなんとなく逃げな気がしたのでやんわり断ります。
靴下3枚重ねれば意外と冬でもサンダルでいけるっていう、すごくどうでもいい発見。
あとは雨の日だとやっぱり事故のエンカウント率は高め。
こういうのを見ると一層気が引き締まります。
運転手のおっちゃんは電話かけながら愉快に笑ってたけども。
もしタイミングがずれてたら巻き込まれてた可能性もあったと思うとちょっとゾッとします。
浙江省に入って、衢州市で宿を見つけて一泊。
寒くて雨降りでおまけに疲労が溜まっているっていう状態でスマホを取り出すめんどくささがもはや役満レベルなので、写真の数は極端に少ないです。
スマホのカメラを起動させる為に手袋を取らなきゃいけないのがまためんどくさくて、この旅の序盤に失くしたデジカメが今になってすごく恋しい。
泥だらけのバッグとズボンを洗う元気もなく、そのまま就寝。
次の日、朝ごはんを食べて出発したはいいものの、しばらく経ってふと標識を見上げるとものすごい違和感が。
というのも、出発直後から見事に逆方向に進んでて、前の日来た道を一生懸命漕いでました。
気付いた時にはすでに15kmくらいの逆走。
疲れ切った身体にムチ打ってまで大ボケかまして、我ながらとてつもない芸人魂だと思いました。まっったく笑えなかったけど。
この日の思い出はそのくらい。
次の日は杭州市に突入。
浙江省の省都なだけあってすごく都会だったけど、それっぽい写真は例の如くこれくらいしか撮ってないです。
奥の方にうっすら都会を感じさせる高層ビル群が写ってます。
小さい公園ではおばちゃん達がバドミントンやら拳法の舞(?)やらに勤しんでました。
そんな光景をぼーっと眺めながら、温かい豆乳を飲んで休憩します。
嘉兴市まで漕いで宿にチェックイン。
いつの間にかこの時点で上海をチェックメイトできるくらいの距離まで来てました。
これまでは外国人でも難なく泊まれていた安宿が、なぜかここにきて初めて断られてびっくり。それも4件連続。
しょうがないので一泊98元(1700円くらい)のちょっと良さげな宿です。
クオリティはそこまで良いっていう訳ではなかった。
次の日の天気は雨、ゴールの上海まではあと100kmと少し。
この時点では全くそんな実感は無かったんですが、一応ラストスパートということで、この旅全部を通して自分の身と心に起きた変化を考えてました。
ずぶ濡れになりながら。
とりあえず思うのは、胃袋の大きさの変化。
食べる量は普段そこまで多くなかったはずが、自分でも驚くくらいの量を食べないと腹が満たされない身体になってしまいました。
ベトナムあたりからご飯のおかわりが自由な食堂が現れ始めてきて、そんな食堂では最低3回はご飯をおかわりしてます。
この日も右の大きめのおひつで2回おかわりしました。
でも食う量が増えたからといって、筋肉がついてゴツくなったかと言われると全くそうでもありません。
「旅が終わる頃には太ももとかムッキムキになってるんだろうな」と、漠然と大きな希望を胸にここまで来たんですが、依然としてヒョロガリ体型のままです。
これ結構ショックでかい。
メンタル面での成長は自分でも眼を見張るものがあると思います。
甘ったれたクソ野郎だった自分が、今や雨で極寒、おまけに泥まみれという逆境の中でも黙々と前に進めるような人間になりました。
いや、時間が十分にあれば迷うことなく休むんですけど。
『雨と寒さと疲労。自撮り棒で後姿をカッコよく撮る隙もないほどの集中力』
でもそれを抜きにしても、「とりあえず一歩踏み出してみる」っていう精神的な強さだったり、「失敗した後の切り替えの早さ」っていうのがこの旅の中で身につきました。
暑かろうが寒かろうが向かい風が吹こうが雨が降ろうが、どんなに気が進まない状況でも1回自転車に跨って進み出してしまえば結構そんなことはどうでもよくなっちゃいます。
知らない人に物を尋ねてみる事や、全くわからない料理を注文する事などもしかり。
とりあえずトライしてみて、そこで何も得られなかったり失敗したりしたら次はすぐ他を当たれば良いだけです。
このトライ&エラー&トライの精神は今後生きてく上でも絶対に役に立つはずだと思ってます。
そんなことをずっと考えながら漕いでいたら日は暮れて、
上海に着きました。ゴールです。
着いてまず思ったことは、
「やっとゆっくり休める…」 です。
走行距離
90km
107km
137km
153km
121km